【インタビュー】栗栖良依

SLOW MOVEMENT参加アーティスト紹介
今回はSLOW LABEL のディレクターで、
SLOW MOVEMENTの総合演出を担当している栗栖良依です。

 

栗栖良依 くりす・よしえ(SLOW LABEL ディレクター / 総合演出)

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◎スロームーブメントについていろいろお尋ねします


Q1:スロームーブメントとはどのように始まったのですか?

すべては2014年のパラトリエンナーレから始まったと思っています。

パラトリエンナーレを開催した時に、届けたい人に情報が届かない、とか
来たくても来れない人がいる、とか、そういう現実を目の当たりにしました。

特定の場所で待ち構えることはもちろん大切で素晴らしいことだけど、
同時に、人が集まるところに繰り出し、積極的に出会いにいく、そんな地道な活動も必要だなと。

だから、パラトリエンナーレで生まれた魂みたいなものを、
パフォーミングアーツという総合芸術にギュッと凝縮させて、
もっと軽やかに、いろんな土地を巡りながら、広めていきたいと思いました。

スロームーブメントもまた、
地域に暮らす多様な人々の出会いの場として機能するよう設計していて
プロのアーティストがその媒介役を担っています。

 

Q2:このプロジェクトを進めていく上で、大切にしていることや工夫していることはなんですか?

昨年のパラトリエンナーレでの経験や反省を踏まえて・・・

アクセスコーディネーターという役職のスタッフを新たに投入しています。

障害のあるアーティストが、芸術活動に参加する上での環境を整える役割の人。
手探りで進めていますが、とても機能していると思います。

対して、障害のあるアーティストと一緒に創作をする人のことを
アカンパニスト(伴奏者)と呼んでいますが、
今回、一般公募で集まったダンサーたちは、とても優秀なアカンパニストたちです。
私自身、彼らの姿勢に本当に救われている部分が大きく、大変感謝しています。

障害のあるなしで区別するつもりはないけれど、
それでもお互いが気持ちよく活動に参加するために工夫した方が良いこともある。
例えば、稽古時間の設定とか・・・トライ&エラーの連続、少しずつ皆で学んでます。


Q3:作品制作をおこなっているなかで
印象に残ったことを教えてください。

自分がせっかちだと思い知った事(笑)

他のメンバーたちが、大切なことは?っていう問いに

待つこと、とか、焦らない、とか答えてるでしょ??

頭ではわかっているけど、私はできないのね。

そして、他の大人たちが、そうだね〜そうだね〜って大人の対応をしていても、
頑固な子たちに対して、同じような頑固な態度で私は容赦なくブツかっていきます(笑)

 

Q4:多様なクリエイターがかかわる今回のプロジェクトの制作はまさにテーマでもある「The Eternal Symphony」ですがその印象的なメインビジュアル誕生の経緯についてお聞かせください。

大阪の阿倍野にある、アトリエコーナスに見学に行ったとき、
そこに所属するアーティスト・西岡弘治さんの作品を見せてもらいました。

西岡さんの踊るような音符たちが、
スロームーブメントのタイトルThe Eternal Symphony をビジュアル化するのに、
ぴったりだと思いました。

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それで楽譜の描画に合わせて、タイトル文字を彼に描いてもらいました。

クリエイター陣にも、このメインビジュアルは大変好評です。

 

Q5:まもなくプロジェクトのパフォーマンスが初演されますが、ご自身が楽しみにしている見所などを、このページをご覧になっている皆さんに向けてこっそり先に教えてください!

毎回、異なるパフォーマンスになると思うので、何度でもご覧ください!
そして、見るたびにあらゆる固定観念から解き放たれてください。

それから、

実は、「日本」というのをとても意識して創っている作品です。

私も含め、今回参加しているクリエイター陣は、海外を拠点に活動していた人が多く、
「日本」を中から外から眺めている人々です。

これぞ日本!という要素が沢山散りばめられている作品になっています。

2020年には、日本にオリンピック・パラリンピックがやってきます。

グローバリゼーションの真っ只中で、私たち日本人が世界に誇るものは何か、
大切に守っていくべきものは何か、そして世界の舞台でどのように舞うのか・・・
そんなことを考えながら、作品をご覧いただければと思います。

Q6:最後の質問です。「スロームーブメント」の大きなテーマの1つは“旅”ですが、ご自身にとっての”旅“とはなんですか?

自分の知らない文化や価値観に出会うための行為。

世の中の常識なんて、いかに意味のないものか!

年に1度の海外巡業は、完全に修行。

[プ ロフィール]

栗栖良依 くりす・よしえ(SLOW LABEL ディレクター)

1977年東京都生まれ。7歳より創作ダンスを始める。高校生の時にリレハンメルオリンピックの開会式に感銘を受け、卒業後は東京造形大学に進学。在学中から大手イベント会社に所属し、スポーツの国際大会や各種文化イベントで運営や舞台制作の実務を学び、長野五輪では選手村内の式典交流班として運営に携わる。2006~07年、イタリアのドムスアカデミーに留学、ビジネスデザイン修士号取得。帰国後、東京とミラノを拠点に世界各地を旅しながら、各分野の専門家や地域を繋げ、商品やイベント、市民参加型エンターテイメント作品のプロデュースを手掛ける。10年、骨肉腫を発病し右下肢機能全廃。翌年、右脚に障害を抱えながら社会復帰を果たし、国内外で活躍するアーティストと障害者を繋げた市民参加型ものづくり「スローレーベル」を設立。14年「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2014」総合ディレクターを務め、日本のコ・クリエイションアワードベストケーススタディ賞受賞(インフォバーン、電通)。
公式サイト:http://www.slowlabel.info/

西岡弘治 にしおか・こうじ(アーティスト)
1970年生まれ、大阪在住。アトリエコーナス所属。幼少の頃から文字という記号的なものに興味があり、広告の裏や学習帳に書き連ねる。2004年後半から作品制作をスタートし、2008年に「かんでんコラボ・アート21」で最優秀賞を受賞。2010年からは大阪で個展やグループ展を開催。2006年より「SONATINE」の楽譜の模写をはじめる。以来200点あまりの楽譜作品を生み出し、国内外で大きな評価を得ている。2012年7月には、その内6点がフランスのabcdコレクションに入る。
公式サイト:http://corners-net.com/artist/91/

ありがとうございました!