その先にあるもの
車椅子ダンサー
ディレクション:栗栖良依 編集:友川綾子 取材・文:清水康介 写真:古川智基(SAFARI.inc)
第1回
車椅子の上で逆立ちをする、こちらのダンサーをご存じですか。
2016年リオデジャネイロパラリンピックの旗引き継ぎ式でのパフォーマンスを見た方なら、
「あの時の!」と膝を打つのではないでしょうか。
かんばらけんたさん。1986年生まれの「車椅子ダンサー」は、
テレビなど各種メディアで度々紹介されて大きな注目を浴びています。
車椅子ダンサーのかんばらけんたさん
ダンスをはじめてすぐにのめり込んだ
大舞台にたった経験を活かしたい
車椅子で颯爽と現れたかんばらさんは、自信に満ちた表情で、
まずは撮影用にとパフォーマンスを見せてくれました。アクロバットな動きも驚きでしたが、
インタビュー開始すぐの発言にも驚かされました。
「子供のころから、車椅子の上で逆立ちをやったりしていたんですが、リオのステージに上がったときはダンスを始めてそんなに経ってなくて」
もともと水泳や陸上、シッティングバレーなどのスポーツをしていたため、基礎的な体づくりができていたとはいえ、舞台は世界中にテレビ中継されるパラリンピックです。ちょっとにわかには信じられませんよね。そんな大舞台で披露したのが、彼自身が「ロクロ(轆轤)」と呼ぶ、横倒しにした車椅子の車輪の上に乗りくるくると旋回するパフォーマンスです。言葉で説明するとシンプルな動きですが、身体の個性を生かした表現に、多くの観衆が胸を打たれました。
かんばら けんた(かんばらけんた)
車椅子ダンサー
PROFILE
フリーの車椅子ダンサーとして活動。「二分脊椎症」という障害を持って生まれる。システムエンジニアとしても働きつつ、大道芸や空中芸のパフォーマーとしても活動。2015年、SLOW LABELのパフォーマンスプロジェクトSLOW MOVEMENTに車椅子ダンサーとして出演したことをきっかけに表現活動を始め「O.F.F」「THE UNIVERSE」などのユニットでも活動。パラリンピック関連イベントや各種メディアなどに出演しつつ、学校での講演も行っている。
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