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【レポート】11/22 横浜市立みなとみらい本町小学校 人権週間・人権講演会

2019 12/10 Tue

2019年11月22日(金)、横浜市立みなとみらい本町小学校で、栗栖良依の講演会を開催しました。

みなとみらい本町小学校は、全校でESD/SDGsに向き合い、「SDGsの達成に向けて、自分たちはどんなことができるのか」、地域の課題と関連付けながら考える取り組みをおこなっています。

この日は、ヨコハマ・パラトリエンナーレとはどんなアートイベントなのか?
障害のある人もない人もまざりあう、多様性のあるワクワクするまちをつくるために、今できることはなんなのか?
全校児童のみなさんに向けてお話しました。

まずは校長先生のお話から。

「このあとお話される方のこと、先生からはあえて紹介しないね。
みんなが聞いて、みんなの心で感じて、その上で自分がどう思ったか、
そしてどう自分が行動するかが大切です」

 

そこからは栗栖さんにバトンタッチ!

最初のおはなしは、栗栖さん自身のからだのこと。

中高時代はバスケ部だったこと。
ところが2010年、膝に悪性腫瘍ができてしまって大きな手術をすることになったこと。
見た目は普通の人と変わらないけれど、自分で足を動かすことには限界があって、人にぶつかったりすると怪我をしてしまうかもしれないので、それを防ぐために、杖を使っていることなどをお話しました。

そんなとき、2011年に横浜の「象の鼻テラス」から「あなたにぴったりの仕事があるから来てください」と誘われて、障害者とアーティストをつなげてモノやパフォーマンスをつくる仕事を紹介され、今の活動をスタート。そこから生まれたのが、この日の講演で紹介した「ヨコハマ・パラトリエンナーレ」です。

「ヨコハマ・パラトリエンナーレ」は、横浜美術館で3年に1回開催される「ヨコハマ・トリエンナーレ」と同時に開催されるもうひとつの(=パラ)トリエンナーレ。「パラカルチャー(違いを認め合う世界)」をめざして開催を続けています。

 

「みんな同じように揃ったダンスもかっこいいけど、わたしはみんなそれぞれの違いを生かしあったパフォーマンスがおもしろいと思ってる。みんなが違いを生かした方が、ワクワクする社会になるんじゃないかと思っています」と語る栗栖さん。

 

その事例として、ダンサー・森田かずよさんをVTRでご紹介しました。

「この身体だからこそできる美しい表現は何なのか?」を探求する現役のダンサーで、この日はヨコハマ・パラトリエンナーレ2017でおひろめしたデュエットダンスの制作過程のエピソードが紹介されました。

「ダイブ」という、相手の体に飛び込む振付がなかなかうまくできない森田さん。
背骨に側弯があるため、倒れこみ方によっては体に激痛がともなうので、つい腰が引けてしまうのです。

でも、パートナーと何度も練習を繰り返し、試行錯誤を重ねることで、安心して飛び込める方法・痛くないダイブの仕方をを見つけ、本番では美しいダイブを披露することができました。

おたがいの体や特性を理解し、物理的にも精神的にも安心感を育むことで、同じ舞台に立って最高のパフォーマンスを作れるんだということが実感できるエピソードでした。

さらに、2017年のリオ・パラリンピックの閉会式のパフォーマンスについても映像とともに紹介。それぞれの身体と向き合い自分だけの表現を見つけ、90,000人のお客さんの前で堂々と披露する姿に、児童たちはすっかり見入っていました。

 

さらに、ここで解説。

東京〜リオの移動距離をみなさんご存知ですか?なんとその距離、飛行機を乗り継いで36時間!普通の人でも体にこたえるその距離を、障害がある人たちが移動するのはカンタンなことではありませんでした。

でもそんな時のために、パラトリエンナーレでは「アクセスコーディネーター(環境を整える人)」「アカンパニスト(伴奏する人)」という人材が、障害のあるメンバーも、安心して参加できるようにバックアップしていることを栗栖さんは説明しました。

同じ車椅子でも、自分でおりれるか、おりれないか、 身体の状態は人によってさまざま。じゃあ「”その人”にとって、何が必要なのか?」ひとりひとりの状態や特性を理解して、それにあわせて対応する。そんな存在がいることで、誰もが安心してイベントに参加できるようになる。「アクセスコーディネーター」や「アカンパニスト」は、そんな役割を担っているのです。

最後に、栗栖さんから児童たちにメッセージが送られました。

「みんなにもまちの“アクセスコーディネーター”をめざしてほしい。
 そのためには、みんなが持ってる2つの「そうぞうりょく」を使えば大丈夫!」

1つは「imagination(想像力)」 相手の困ってること・してほしいことを想像する力。
1つは「creativity(創造力)」 目の前のバリア・ハードルをどうどかすか考える力。

自分とちがう人と接する時、それを使えば乗り越えていける。2020年に、東京オリンピック・パラリンピックが開催される時、横浜でも海外の人・障害のある人・自分と違う人と出会う機会が増えるはず。

そんな時、2つの「そうぞうりょく」を使ってゆけばきっと乗り越えられるし、みんなが大人になったに、もっと暮らしやすいまちになっているはず、と笑顔で語りました。

 

また、オリンピック・パラリンピックの3つのビジョンのうちのひとつ「全員が自己ベスト」についても紹介。

「誰かと比べたりしない、障害があるかないかも関係ない、自分だけのチャレンジ目標を見つけて「自分史上最高の記録」を出すことについて、ぜひ考えてみてください!」

そんな宿題をかかげて、きょうの講演会は終了しました。

 

 

講演会の後は、4年1組の教室に移動!

みなとみらい本町小学校では、各クラスごとにテーマを決めてSDGsに取り組んでいますが、4年1組では「パラスポーツ」をテーマに、色々なパラスポーツ選手を取材したり調べたりしていました。

講演会の感想を書き終わったら、意見交換の時間。

印象に残ったエピソードや、栗栖さんからの宿題に対して自分たちができると思うことを発表!全員がさかんに手をあげて、自分の意見を語っていたのがとても印象的でした。

横浜を多様性のあるまちにしていくために「“自分”が、実際にできることはなにか?」具体的な行動まで考えた、一歩ふみこんだディスカッションがおこなわれました。

今日出会った児童たちが、横浜というまちでどんな行動をおこしていくか。これからがとても楽しみです!

横浜市立みなとみらい本町小学校
人権週間・人権講演会
<日時>2019年11月22日(金)10:35~11:15
<会場>横浜市みなとみらい本町小学校 体育館
<講師>栗栖良依
協力:NPO法人スローレーベル

(文・南裕子、写真・友川綾子/SLOW LABEL)

 

 

 

 

 

 

 

 

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