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【レポート】「神山まるごと高専」1期生が SLOW CIRCUS ワークショップで大奮闘

2023 05/22 Mon

アートの力で、国や分野を超えた共創を生み出し、社会課題に向き合い、多様性と調和のある社会の実現を目指して活動している「認定NPO法人スローレーベル」では、2017年よりシルク・ドゥ・ソレイユのサポートを受け、「ソーシャルサーカス」を活用した「SLOW CIRCUS研修プログラム」を開発し、教育機関や福祉施設、企業に対して体験型のチームビルディングやダイバーシティマネジメント研修を提供しています。
SLOW CIRCUS研修プログラムとは

今回、徳島県神山町に、2023年4月2日開校した「神山まるごと高専」において、多様性理解をテーマとした「SLOW CIRCUS ワークショップ」を実施しました。

「神山まるごと高専」には、「モノをつくる力で、コトを起こす人」を育てるため、デザインやテクノロジーといったモノをつくる力を基盤に、起業家精神を育むという、これまでの既存学校にないコンセプトが注目を集め、全国各地から44人の1期生が入学しています。
神山まるごと高専とは

ワークショップを開催したのは、入学しまだ1ヶ月弱の4月24日。まだまだお互いの事を十分理解できていない時期に、一緒に体を動かしワークをする事で、教室内では見せない部分を知ったり、今回、特別に地域の方々7人にも参加して頂き、世代を超えた交流のきっかけを創出することにしました。

トレーナーは、全員海外での活動経験を持つサーカスアーティスト「金井ケイスケ」、ダンサー「定行夏海」、ジャグラー「ぱわぁ」、エアリアルアーティスト「吉田亜希」の4名。

©︎Akihiro Ueta

まずはトレーナーが、それぞれ得意とするパフォーマンスで学生等の興味を惹きつけていきます。

その後、グループに別れ、しっかりと目と目を合わせ、名前を呼び合いながらボールを渡すワークや、二人組で体重を預け合い互いを信頼して安全を確保するワークを通じ、コミュニケーションがそれぞれの不安を解消し心理的安全性を高めていく事を体で感じていきました。

様々なアクティビティの後、最後のクライマックスでは「ロープワーク」を行いました。
チームで1本の輪になったロープを持ち、全員が均等に体重をかけることでバランスを保ちます。

一人でも力の均衡を崩してしまうと全員が倒れてしまうリスクがあり、ロープを持っている人も、周りで転倒を防止するためにカバーする人にも緊張が走ります。

全員が息を合わせロープをきつく張れば、その上を綱渡りのように人が歩く事も可能となります。

先に二人で体重を預け合うワークが、このロープワークの中にも活かされています。

最後は世界最小のマスクと呼ばれる「魔法の赤鼻」を付け記念撮影。赤鼻を付けることによって、笑いを起こすサーカスのクラウンのように、笑顔を爆発させました。

参加していただいた地元の方々は、給食にも使用されている野菜を作っている「里山の会」の皆さまでした。

学生の皆さんには、感想をボードに書いていただき、フィードバックを行いました。それぞれのワークショップでの気づきを共有しながら、それぞれのワークの中にある狙いをトレーナーから話しました。

最後に、代表栗栖良依から、メッセージが伝えられえました。

「サーカスワークショップには「リスク」が含まれていますが、それはリスクを冒して挑戦しなければ得られない成長があるからです。また、自分一人ではできないチャレンジも、チームではやり遂げられる事もあるので、5年間で良い仲間を見つけて欲しいです。リスクに挑戦できるチームをつくるため、必要なのは「心理的安全」な環境が大事だと思っています。怖い時には怖いと言える環境、ケンカしても戻ってこれる環境をみんなでつくってください。普通、多様性研修=障害のある人をどうやって助けるのかと考えがちだが、スローレーベルでは、障害あるなし関係なく一人一人が持つ個性を発揮できる環境づくりが重要と考えています。そのためにはまず、自分の心身を健やかに保ち、それによってみんなの心理的安全に繋がると考えて、これからの学校生活を送ってほしいです。」


感想の一部を紹介します。

<感想抜粋>
・キャッチボールをした時、相手の名前を呼んで、よく見て転がしたりゆっくり投げたり大きく投げたりと、相手のことを考え、向き合い、理解しようとした。これこそが多様性理解なのだと改めて感じ、その後のアクティビティを行う度に多様性理解が深まっていった。

・「理解する」ということは、多様性のある社会にとってすごく大切なことだと思います。今まで「理解」という言葉を簡単に何度も使ってきたけれど、もっと深いモノなんだなと感じました。知るだけでなく、その人だけのことを配慮するのではなく、相手も自分も周りもみんなが楽しく幸せになる方法を考えること。それが「理解する」という意味なんだと気づきました。楽しかったです。

・「地元のお年寄りや、普段関われないような方々と体を動かして遊ぶ」というのは、今まで想像もしたことがなかったし、ありえないものだった。だが、「多様性」というのは、当たり前の環境では生まれない。住んでいた地域も、性別も、年齢も、価値観も、何もかも違うからこそ生まれるものなのだと学んだ。これから、自分の”普通”と違う部分がたくさん見えてくるだろう。しかし、それは多様性を認めていく上でとても大切なこと。人との「違い」に自信を持って、ありのままに今を精一杯楽しんでいきたい。

・背中を反る運動や、ロープを引っ張りながら立つアクティビティがあった。このような町民の方と一緒に協力するときに、性別や年齢による体の状態の違いで、相手との連携があまり取れずに悩んだから、相手の立場になって考える思いやりが大事だなと思った。町民の方々と関わることのできる良い機会だったので、とても充実した時間になった。

・始まる前は、今までの中学校のような講師の話を聞いて少し交流みたいな形を想像していました。しかし、実際は体育館に入った瞬間、中がカラフルになっているのに気づき、胸が高鳴りました。内容も地元の方を含め、今まであまり喋らなかった人達と一緒に体を動かすものだったので、楽しみながら「社会には私の知らない人であふれているんだなぁ。」「それなら色々な人と関わる方が面白い!」と感じることができました。また一緒に体を動かしたいです。ありがとうございました。

・普段インドアで運動が苦手な私でもひさしぶりに体を動かすことが楽しいと思えました。あまり話したことのなかった同級生との距離も縮まったような気がして嬉しいです。道具を使うのも初めてで貴重な体験になりました。とにかく楽しかったです!!ありがとうございました。


SLOW LABELは、神山まるごと高専の学生の皆さんがワークショップで体得した多様性を尊重し、様々な社会課題の解決に繋がる新たなアイデアを生み出し、未来のモノづくりに活かしていただけるよう、今後も応援してまいります。

 

主催 神山まるごと高専

助成 本事業は文部科学省の大学改革推進等補助金(高等専門学校スタートアップ教育環境整備事業)による助成を受けて実施しました。

企画 認定NPO法人スローレーベル

 

レポート:多田恵子

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