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4月上旬、港区立六本木中学校でソーシャルサーカスワークショップを行いました。
スローレーベルでは、2月に同校の特別支援学級の皆さんとワークショップを開催。
(その様子はこちら)
そのときに先生から「新入生のチームビルディングに使えないか」とご意見をいただいたことから今回のワークショップの開催につながりました。
中学校は、先生やクラスメイトの顔ぶれも、勉強や部活などの生活スタイルも小学校とはずいぶん違うもの。
その環境の変化についていけず、さまざまな問題が生じてしまうことを「中1ギャップ」といいます。
この「中1ギャップ」が不登校やいじめなどの問題につながっていることもあるようです。
また、港区という土地柄、外国にルーツを持つ子も多く、多様な人とコミュニケーションをとる力を育むことも必要です。
もともと、ソーシャルサーカスは移民や貧困など社会的課題を抱えた地域で、マイノリティの社会参画の促進を目的として始まりました。
「他者と協力し、慣れない環境に適応する」という意味で、新しい人や環境に直面している中学校1年生の皆さんの役にも立つのではないでしょうか。
今回は1クラス35名+担任の先生1名につき50分を、2回(2クラス)行いました。
毎回、サーカスワークショップはオーダーメイドのプログラムを作成して実施しています。
普段のサーカスワークショップは1回の参加者が多くても20名程度、時間も1時間半以上のことが多いので、今回は短い時間でたくさんの参加者に楽しんでもらうことも考えてプログラムを組みました。
ファシリテーターは金井ケイスケさん、齊藤優衣さん、鹿子澤拳さんの3人です。
今回の参加者の皆さん、3日前に入学式があったばかりだそうで、中学生になりたてほやほや。
まだ新しい環境にそわそわしている頃です。
まずは円になってジャンプやストレッチなどで少しずつ緊張をほぐしていきます。
名前を言いながら、足の下を通る棒を踏まないようにジャンプ。
近くにいる人同士で体のどこかを触れ合わせ、全員が1つにつながるワーク。
体を伸ばさないと届かないので、ストレッチにもなります。
歩きまわりながら、「足、5人」などお題に合わせてグループを作るワーク。
どれもちょっとした触れ合いですが、こうしたゲームを通して、コミュニケーションのきっかけが生まれます。
2人で棒の両端を持って、落とさないように移動するワーク。
棒のワークは最初は動きを先導するリーダー役を決めて移動しますが、
徐々にリーダーを決めずに動いていきます。
言葉も使わないようにし、お互いや周りの人の呼吸に注意を向けなければなりません。
単純な動きのように見えますが、棒を落とさず、周りにもぶつからないようにするには、バランス感覚や非言語的なコミュニケーション力などさまざまな能力が必要です。
ジャグリングタイム。
まずはファシリテーターのデモです。
みんな集中して見ています。
次に、いろいろな道具のなかから思い思いのものを選んでチャレンジ。
ジャグリングボールのやり方レクチャー。
見学していた先生たちも、皿回しにチャレンジ。
大人も子どもも、ジャグリング道具があると手にとってやってみずにはいられなくなる、不思議な力があります。
こうして先生と生徒が同じ目線で遊びを楽しむのも、
時にはとても大事なことだと思います。
ラストはソレイユ。
30人以上でソレイユを行う機会はなかなかありません。
金井さんたちファシリテーターは何も言わず見守るだけで、
クラスのみんなの協力でリング上のボールを目標のポールに導きます。
1クラス目はボールを落としてしまって何度かやり直し、
2クラス目も、リングに通すまではうまくいきましたが、最後に糸を置くところで失敗してしまいました。
でも、みんなナイスチャレンジ。
もしかしたらこのクラスになって、全員で一つの目標に取り組むのは初めてだったかもしれませんが、一丸となって協力する感覚を体験してもらえたのではないかと思います。
終わった後の感想でも、「入学してから3日で、まだ話したことがない人ともコミュニケーションできたのでうれしかった」という声がありました。
いまはまだ新しい環境に馴染んでいなくても、これから学校生活をともにするなかで、
一体感が生まれてくるはず。
半年後や1年後などに同じことをやったらどのような変化が起きるのか、
サーカスワークショップをするのとしないのではどんな違いがあるのか、
そんな時間をかけた定点観察もできたら、よりプログラムを進化させることができそうに思います。
六本木中学校の皆さま、貴重な機会をありがとうございました。
皆さんの中学校生活が実りあるものになるようお祈りしています!