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【レポート】SLOW MOVEMENT Showcase & Forum vol.3 後半(第3部&懇親会)

2019 03/15 Fri

2019年2月10日に開催した『SLOW MOVEMENT Showcase & Forum vol.3 -ソーシャルサーカスの可能性-』、後半のレポートでは、第3部のパネルディスカッションの様子をお伝えします。
【前半(第1部〜第2部)のレポートはこちら】

第3部のパネルディスカッションでは、SLOW LABELディレクター・栗栖良依、今回の特別ゲスト、ダニエレ・ジャングレコさん、SLOW LABELパフォーミングディレクターの金井ケイスケさんの3人が登壇。

イタリア、ケベック、モントリオールなど、海外でどのようにソーシャルサーカスが展開されているのか紹介したあと、「これから日本でソーシャルサーカスを広めていくためにどんな方法があるか?」をテーマに、客席のみなさんといっしょに意見を交わしました。

今回の特別ゲスト、ダニエレさんは、イタリアのソーシャルサーカスの第一人者。
2000年に行った知的障害者とのバスツアーパフォーマンス「Spiazza la Piazza」が話題となったサーカスアーティストで、「アルトロチルコ」というイタリアのソーシャルサーカスネットワークの創設メンバーでもあります。

今回のフォーラムでは、「Spiazza la Piazaa」や過去のソーシャルサーカス上演を例に、施設や劇場を出て、街中(オープンスペース)で上演することの意義を強調。

「上演する場所を福祉センターから劇場に移すだけじゃいけない。建物の中にこもらず、センターから劇場までの道にいる普通の人に見てもらうことが大事なんだ!」

スローレーベルも、街中に出ていくことを意識しているので、思いが非常に重なります。

また、ヨーロッパではソーシャルサーカスを通じて社会課題と向き合う活動が多くあることを紹介してくださいました。

続いて、SLOW LABELパフォーミング・ディレクター 金井さんからは、昨年11月にリサーチ訪問した、ケベックやモントリオールにおけるソーシャルサーカスの活動事例を紹介。

世界にはたくさんのソーシャルサーカスの学校があります。

たとえば、ケベックの「ジャック・カルティエセンター」。

この場所には、貧困・薬物中毒・アルコール中毒など、さまざまな社会的課題をもつ若者が通い、プログラムを通じて、自己肯定感や信頼感など、社会で生きるためのスキルを育んでいます。主な参加者は16〜35歳。センターには滞在することも可能で、参加者が安心できる居場所となっています。

プログラムは、アイスブレイクやウォーミングアップからスタート。
そのあと練習するスキルは、ジャグリング、アクロバット、ひとりもくもくできるものまで様々。挑戦できるスキルが幅広いのも、サーカスならではの特徴です。

また、いわゆるルールが少ないのもこの学校の特徴。生活の最低限のルールすら、参加者自身の発案でうまれるのだそうです。

ソーシャルワーカーがプログラムに参加することもありますが、あくまで彼らのサポートをすること、目標づくりのお手伝いをすることが目的で、けっして人物評価をすることはありません。友人と同じ立ち位置で寄り添います。

そのほかにも、年齢制限を超えてもサーカスを学びたい人のために生まれた「キャラバンコープ」、プロのサーカスアーティストの養成を目指しながら、地元の障害者や小学生向けのプログラムも実施する「エコール・ド・シルク」(教会をリノベーションした素敵な施設!)、モントリオールの「シルク・オール・ピスト」などさまざまな活動例が紹介されました。

現地の写真や映像とともに金井さんのお話を聞くうちに、会場全体の「ソーシャルサーカスってどんなものだろう?」という疑問がときほぐされ、どんどんイメージが鮮明になっていきます。

さらに、世界で取り入れられているソーシャルサーカスのメソッドも一部紹介。

シルク・ド・ソレイユの社会貢献部門「シルク・ドゥ・モンド」では、20年以上前からサーカスを通じた社会貢献活動の取り組み、2014年にはそこで培ったメソッドを集めて1冊の教本を作りました。

金井さんは、そこに載っている例として「トライアングルフォーメーション」というメソッドを紹介してくださいました。
誰かが固定のリーダーになることなく、全員がフラットに対話できる状態をつくるための、プログラムファシリテーションの方法です。
ソーシャルサーカスには、こうしたメソッドが多く蓄積されていて、世界のソーシャルサーカススクールではそれを生かして、プログラム構成したり人材を育成したりしているのだそうです。

スローレーベルでも、こうしたメソッドを取り入れ数々の実践を行ってきました。

昨年は「SLOW ACADEMY 障害者のアート・スポーツ活動 指導者育成講座」という研修開発事業を行い、そこで出た意見や感想を取り入れながら、プログラムを少しずつブラッシュアップしてきました。

1月には港区スポーツセンター、2月には港区立六本木中学校の特別支援学級でもWSを行いました。見学された副先生からは「中1ギャップの解消にも効果がありそう!」というご意見もいただけました。

【レポート】1/12 ソーシャルサーカスワークショップ in 港区スポーツセンター
【レポート】2/4  ソーシャルサーカスワークショップ in 港区立六本木中学校

こうした実践やリサーチの成果をまとめ、4/6からはいよいよ「SLOW CIRCUS SCHOOL」が開校!ソーシャルサーカスプログラムを日本全体に展開していくための新しい挑戦がはじまります!

さあ、ここからは会場のみなさんもまじえたディスカッションです。

「2020年にはオリンピック・パラリンピックが開催され、それがきっとソーシャルサーカスにとってもレガシーになるはず。そこからどう展開するか、みなさんのお知恵を借りながらいっしょに考えていきたいと思います」

と栗栖が会場全体に投げかけると、舞台にグラフィックレポーターの藤田ハルノさんも登場!
みんなの意見をイラストと一緒にわかりやすく記録してくださいます。

ディスカッションの前には、ソーシャルサーカスを展開していくために考えられる文脈を3つあげられました。

① リハビリテーション
ソーシャルサーカスで使う道具は作業療法士が使う道具ともよく似ている!
運動が嫌いな子どもや高齢者、障害者も楽しく参加できて、積極的に体を動かす効果がある!

② エンパワメント
2020以降、後期高齢者社会を迎え、働き手がさらに必要に…。
障害者・外国人労働者・離職者など、いろいろな背景をもつ働き手が増えたとき
就業前のコミュニケーション形成に活用したり、働き手自身の自己肯定感を育むために活用できる!

③ コミュニティビルディング
地域に暮らす多様な背景の方が打ち解けるきっかけを作ることができる!

どれも、これからの日本に欠かせない視点で、会場からもたくさんの意見が寄せられました。

「高齢者向けのプログラムにすごくいい!
赤い鼻や楽しい小道具があるおかげで参加者が笑顔になりやすく、作業療法的効果もあり、利用者同士の会話にも花が咲く!」

「第2部のパフォーマンスを見て、障害を持つ当事者自身にも、人をエンパワメントする力があると感じた!」

「小中学生がボランティアで施設を訪問するとき、入居者とのコミュニケーション手段としても活用できそう!」

「サーカスを見たときの“楽しい!すごい!”という感情が、次に繋げていく手がかりになると思う。
ソーシャルの側面を大事にしつつ、エンタメとしてサーカスを行う団体とも協力していけるといいのでは?」

「活動の拠点があると”行ってみよう”と思いやすい!空き地空き家を活用して拠点を作れないか?」

中でも、
「福祉に関わる人、障害をもつ当事者自身、ボランティアに参加する学生や子どもたちが身につけて、
<人から人へのリレー>で広げていけると思う!」という意見をたくさんの方からいただきました。

新しいアイデアや、ソーシャルサーカスを活用できそうな場面をたくさん教えていただき、
これからの可能性や、活動の手応えを、しっかり感じられる1時間となりました!

フォーラム終了後は、ホワイエで懇親会。参加者も登壇者もいっしょになって、賑やかに今日の感想を話し合いました!
みなさんの手には、おもてなしパフォーマーたちがお配りした、できたてのポップコーンも。

パネルディスカッションのグラフィックレポートもさっそく展示!グラレコの前では、「こうしたらソーシャルサーカスがもっと盛り上がるんじゃないかな?」とアイデアを交わす人の姿が何人も見られました。

「ソーシャルサーカスとは何か」をあらためて紹介し、これからの可能性について考える1日、いかがでしたでしょうか?

スローレーベルでは、今年からより多くの方にソーシャルサーカスの可能性を伝えるため、「SLOW CIRCUS SCHOOL」をはじめとした企画を、継続的に展開していきたいと思います。

これからも、ソーシャルサーカスの可能性を活用できる場をまだまだ開拓中!今後の展開に、ぜひご注目ください!

(SLOW LABEL 広報PR 南)

Photo:427FOTO, Hajime Kato, Makoto Hashimoto

 

 

主催:文化庁(平成30年度戦略的芸術文化創造推進事業)、スロームーブメント実行委員会、NPO法人スローレーベル
共催:港区(平成30年度文化プログラム連携事業)
助成:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
後援:イタリア文化会館、ケベック州政府在日事務所、厚生労働省
協力:アルトロチルコ、スパイラル/株式会社ワコールアートセンター
字幕指導:株式会社リアライズ
認証:beyond2020認証プログラム

港区文化プログラム連携事業とは・・・
港区と文化芸術活動団体が連携し、2020年に向けた気運醸成及びレガシー創出に向け、港区ならではの文化プログラムを展開するものです。
スロームーブメント実行委員会は、平成28年度から港区文化プログラム連携事業の指定を受けています。

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